『わたしの名は紅』より(7)

思いもかけない石の撃打によって頭蓋骨の端がつぶされた時、あの野郎がわたしを殺そうとしているのがわかったものの、まだわたしが死ぬとは思いませんでした。工房と家の間を行き来する地味な生活をしていた時には気がつかなかったのですが、わたしにも夢がありました。どうやっても生きのびようと思って奴にかみつきました。二度目の石の攻撃のことをお話しして皆さんをうんざりさせますまい。
 苦痛の中で悲しいが死ぬとわかった時・・・ 

O hiç beklemediğim taş darbesiyle kafatasım kenarından kırıldığında, o alçağın beni öldürmek istediğini anladım da, öldürebileceğine inanamadım. Umutla dopdoluymuşum, ama nakkaşhane ile ezim arasındaki solgun hayatımı yaşarken hiç farketmezmişim bunu. Hayata parmaklarım, tırnaklarım ve onu ısırdığım dişlerimle tutkuyla sarıldım. Başıma yediğim diğer darbelerin acısıyla sizlerin canını sıkmayayım.
 Öleceğimi kederle anladığım zaman, ....


 必要もないのに、ことさら「意訳」に徹している感がある。同じ意味を言い回しを変えて表現しようとしているのだが、微妙に意味がずれているのがわかる。パムックが意図して選択している言葉を敢えて他の言葉に置き換える必要はなかろう。


 少々言葉を補いながら、直訳を心がけて訳してみた。


あのまったく予期しなかった石の一撃によって、わたしの頭蓋骨が外側から砕かれたとき、あのげす野郎がわたしを殺したがっていることは分かったが、実際に殺すことができようとは、信じられなかった。今思えば希望に溢れていたのだろう。だがそんなことは、工房と家を行き来するだけのくすんだ生活を送っている時には、決して気づきようもなかったことだ。わたしは、いのちに指をかけ、爪を立て、奴を噛んだその歯で噛み付きながら夢中でしがみついたのだった。それからさらに頭に受けた数撃の痛みについては、お話ししてあなたがたを滅入らせたりはするまい。
 自分が死のうとしていることを悲しみとともに理解したとき・・・



だが、その前にあの人殺し野郎を見つけ出して、八つ裂き車輪の拷問にかけて、八本か十本の骨が折れて、できれば肋骨が折れて、金串が頭皮をうがち、奴の薄汚い脂ぎった髪が一本一本抜かれて奴に悲鳴をあげさせなければならない。

Ama katilimi bulduktan sonra ona mengene aletiyle işkence edip kemiklerinden sekiz onunu, tercihan göğüs kemiklerini, yavaş yavaş çıtırdatarak kırmanızı, sonra da iğrenç ve yağlı saçlarını, işkencecilerin bu iş için yapılmış şişleriyle kafatasının derisini delerek, tek tek bağırtarak yolmanız gerekir.

 「八つ裂き車輪」が、検索をかけても見つからなかった。だが、mengeneは一般に「万力(まんりき)」のことであり、同時に拷問の手段の一つとして、昔より「万力締め」という方法があったようだから、ここは素直に「万力締めの道具で」と訳した。
 また、一文のなかで主語がころころと入れ替わるために、非常に心地の悪い文章になっている。原文の主語は「あなたがた」なので、訳文もそれに合わせるのが自然だろう。



だが、あなたがたにはまず、あの人殺し野郎を見つけ出してから、万力締めの道具で拷問にかけ、骨を十本ほども、それもできれば肋骨を、ポキンポキンと音を立てながら折ってもらい、それからあの気味の悪い脂ぎった髪の毛を、このために作られた拷問用の串でもって頭蓋の表面に穴を開けながら、一本一本、悲鳴を上げさせながら引き抜いてもらわねばならないのだ。