『雪』より―雪をめぐる断章【8】

cesur_civciv2007-12-30








第19章 雪が、どれほどまでに美しく降っていることか!―革命の夜  より



 雪が、どれほどまでに美しく降っていることか!どれほどに大粒で、どれほどに確固とし、決して降りやむことがないかのように、そしてひそやかに。 ゆったりとしたカラダー大通りは、膝丈まで積もった雪に覆われて闇夜へとまっすぐに消えていく勾配になっていた。白く、そして神秘的な!アルメニア時代から残る三階建ての瀟洒な市庁舎には、人っ子一人いなかった。一本の沙棗(スナナツメ)の樹から垂れ下がる氷柱が、その下に隠れた一台の車の上に積もった雪の山とひとつになり、氷と雪の半々からなるチュールのカーテンを作り上げていた。平屋建ての空っぽなアルメニア人住宅の、板を打ち付けためくら窓の前をKaは通り過ぎた。自分の呼吸の音と足音を聞きながら、まるで初めて耳にしているかのような生命と幸福の招き声のする方を、意を決して振り返ることのできる力を心の内に感じていた。
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