新着本(2)『ハシバミ八』

FINDIK SEKİZ




〔書  名〕FINDIK SEKİZ (仮題:『ハシバミ八』)
〔著  者〕Metin Kaçan (メティン・カチャン)
〔出 版 社〕Can Yayınları
〔出 版 年〕Yapı Kredi Yayınları、初版1997年 (2003年ジャン出版移籍/最新版第5刷)
〔頁  数〕125ページ



 

 ―象徴的・寓話的感触のなかに、イスラム神秘主義の痕跡を宿す作品。イスラム神秘主義的要素が、カチャンならではの無頼漢・ならず者的な語り口と、手を焼くほどの大胆さによって創造された言葉遊びとの狭間で、いまだかつて馴染んだことのない効果を私たちにもたらしている。


 ―内的世界への旅立ちが焦点となっている作品。イスタンブールはベイヨールの、血と暴力と麻薬とセックスとで練り上げられた歓楽街文化と、インテリと呼ばれる異なる階層が隣り合わせに存在する環境のなかで、主人公メトは、物質的生活の辺縁を徘徊し、「自殺の間際、生存の開廊」を歩き回る。

 
―闇から光へ。物質性から精神性へと向かう旅路について語る。


 ―愛の小説である。もっともここでテーマとなるのは、異性に感じる愛よりずっと抽象的な愛である。神秘的な色合いの白昼夢と、具象的なベイヨールの真実とが入り混じる領域に息づく小説である。


 ―叙事詩的・民話的、そしてあまりにも血にまみれ、生々しく、ヤクザ的な世界。色彩と音色を伴って呼吸する文章。「語彙の世界へ帆を広げる」ことを強いるこの構築的大海は、散文、韻律的散文、韻文の入り乱れる、ひとつの言語的祝祭である。


                          ―ユルドゥス・エジェヴィット―
 
 (裏表紙より)