農民文学

『ロバの図書館』を読む(3)

ディミトリスの来訪 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜 ギリシャはラリサの町を出たディミトリス・カツィカスは、ある暑い夏の日、アナトリアはウルギュップの町の中心で、アンカラから乗ったバスを降りた。緊張で体が震えている。説明しがたい感情で胸が一杯…

『ロバの図書館』を読む(2)

●ファキル・バイクルト(Fakir Baykurt) 本名タヒル・バイクルト(Tahir Baykurt)。1929年、ブルドゥル生まれ。ギョネン村教員養成学校*1を終えた後、村落教員として働き出す。1955年にガーズィ教育専門学校を終えてからは、スィワス、ハフィック、シャヴ…

『ロバの図書館』を読む(1)

今年の初めに購入したものだが、Türküといわれる民謡が何箇所も登場するため、訳出を諦めてしまった作品である。 1999年に亡くなったバイクルトが、病床で最期まで校正を続けた遺作。 カッパドキア地方の小都市ウルギュップで、「ロバの図書館屋」と呼ばれた…