新着本(2)『幸福(仮題)』
■『幸福(仮題)』
〔書 名〕MUTLULUK(仮題:『幸福』)*1
〔著 者〕Zülfü Livaneli(ズルフュ・リヴァネリ)
〔出版社〕Remzi Kitabevi
〔出版年〕2002年
〔頁 数〕343ページ
ワン湖の畔にある小さな村で強姦に遭った17歳の娘メリエムは、閉じ込められた暗い土蔵のなかで、自分の運命に思いを馳せる。
イスタンブールはボスフォラス海峡を望む屋敷に暮らす、ハーバード大学卒の著名な大学教授イルファン・クルダルは、自分の人生を根本から変えようと計画する。
特殊部隊員としてガバル山中に籠りPKKの掃討に命をかけるジェマルは、砲火の中で一日一日を生きている。
この3人の人生の軌跡が、不思議な巡り合わせによって一つに重なり、それぞれが互いの精神の葛藤を間近に見つめることになる。
『幸福』はまぎれもなく現代を象徴する小説であり、都会と小村、ワン湖、イスタンブール、エーゲ海の生活を描くことで、今日のトルコの証言者となりうる代表作である。