『白い城』より(4)


原文9ページ3行目。(邦訳11ページ14行目)


Başka örneklerde de görülebileceği gibi bunun tersi de doğru olabilir diye düşünüyor, hikayemin yazarının izini bulmaktan umudu kesmemeye çalışıyordum, ama İstanbul kütüphanelerinde yaptığım araştırmalar umutlarımın çoğunu suya düşürdü.

他の数々の例にも見られるように、その反対もまた真実でありうると考え、物語の著者の足跡を見つけるという希望は断たないように努めた。しかし、イスタンブールのあちこちの図書館で行った調査の結果、私の希望の大部分は水泡に帰した。

 

もっとも、わたしの想像と正反対のことが正しいということも―他の例についても同様であるが―ままあり得るであろうが。作者の足跡を辿ろうという望みを断ち切るまいとして、わたしがイスタンブルの図書館で行った調査は期待をくじくものだった。



原文はこれまで同様の長い一文であるが、拙訳でも宮下訳でも2文に分けてある。ただし、分割した箇所はそれぞれ異なり、私が2つ目のカンマとama(しかし)のところで切ったのに対し、宮下氏は1つ目のカンマ、düşünüyorという変則的な箇所で切っている。変則的、というのは、düşünüyorはçalışıyorと並列になっているためで、düşünüyor(dum),…. çalışıyordum=〜と考えて、〜努めていた、というように、第1節と第2節は繋がっているからである。(ちなみにパムックは、このように…yor,….yor,…yordum.という形で文を長文化することが極めて多い)

原文にはない「もっとも〜ままあり得るであろうが」という表現が付け加えられているのは、変則的な箇所で文章を切ったために不自然になった前後の繋がりを補完するためであろうか。



他の数々の例にも見られるように、その反対もまた真実でありうると考え、物語の著者の足跡を見つけるという希望は断たないように努めた。しかし、イスタンブールのあちこちの図書館で行った調査の結果、私の希望の大部分は水泡に帰した。